勝原祐子
大阪福祉事業財団常務理事、いくの学園理事
民間施設としての活動開始から25周年を記念して、「いくの学園の25周年を祝う会」を9月17日に開催しました。3連休の中日でしたが、総勢64名の参加で活気あふれる催しとなりました。
開会にあたり雪田理事長より、いくの学園の歴史に触れながら、当事者の背景や抱える課題の多様化などにより、これまで行ってきたDVシェルター支援では対応しきれない今日的課題が出されました。本会では当事者に必要な支援のあり方を考え、展望を描く機会にしたいとの趣旨が述べられました。
座談会「DV・虐待被害者支援の新たな展望を描く」
最初に、DV加害者教育プログラム・NOVO(ノボ)運営者、立命館大学・大学院非常勤講師の伊田広之さんからお話をうかがいました。日本では、DV対応といえば被害者支援であり、被害者のための相談や安全確保のための隔離などの対応がされる一方、加害者へのアプローチは限定されているのが実情です。伊田さんは、加害者が変わらなくては、暴力はなくならない、被害者支援と加害者更正は車の両輪であると強調されました。
NOVOの取り組みの特徴は、頻度と期間をかけて行うこと、グループ活動による教育プログラムです。自身の中のDV要素を取り除き、自己変革していくプロセスを、当事者メンバーやチューターが支えています。参加者の声や場面などリアリティのあるお話でした。欧米での地域コミュニティの中のさまざまな機関のネットワークによる支援の在り方も示していただきました。感想アンケートでは、もっと聞きたい、学びたいという声が数多くありました。
日本福祉大学准教授である増井香名子さんは、婦人相談所の実践で“困り感”を抱き、模索する中で研究に着手されたという経歴を持っておられます。当事者インタビューの分析による支援のあり方の研究もしておられ、当事者のストレングス・強みに着目することが大切であると話されました。支援者に向けて、「DVインフォームドなメガネ」と「支援の引き出し」を増やすことが大事であるとのお話には、多くの参加者が共感していました。独自に開発された「ステージモデル」や面接ツールなど、支援者にとって大事な視座・視点を学ぶことができました。今後取り入れたい海外の知見についても紹介があり、期待が膨らむお話でした。
座談会では、おふたりへ多数寄せられた質問にも答えていただき、理解を深めることができました。
懇親会は、いくの学園と関係の深い方々からお祝いとエールのメッセージをいただき、日頃からの連携協力のネットワークの力強さを実感できる場となりました。その後も時間いっぱいまで、会場の各所で情報交換や交流を深める輪ができていました。
いくの学園の企画に今回初めて参加しましたが、多くの方にご参加いただいたこと、皆さんがとても熱心なこと、つながりの強さをリアルで感じたことは、驚きとも言えるほどです。法整備により支援機関が拡充され、支援団体相互や民間と行政との連携が強まり、さまざまな暴力から解放される社会に近づけていきたいとの思いを抱きました。
25周年記念にふさわしい学び多い座談会、心温まる懇親会となりました。お話くださった伊田さん、増井さん、そしてご参加くださった皆さまに感謝いたします。ありがとうございました。

