香川裕美
公認心理士
北浜ソリューションルーム代表
私は、トラウマセラピーを主にカウンセリングを行っています。性犯罪被害の方に対応することもあり、支援者としての立ち位置を点検するために「女性に対する暴力をなくす運動」のセミナーに参加しました。その内容について報告させていただきます。
第1部「女性に対する暴力の現状と課題を知る」
◇主な暴力の形態には、身体的・精神的・性的なものがあるが、なぜそのような暴力を振るうのか?それは暴力によって相手を怖がらせ、操り、支配するための力によるコントロールを目的としているからである。
◇女性への暴力の背景には、男性優位社会の中にある女性差別と家父長制の概念が社会的だけでなく家庭内でも今も根付いているからであると考える。
◇2001年に制定された「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」が2013年に改正され、対象が配偶者・元配偶者・内縁関係にある者から同居中の恋人関係にある者が追加されたが、デートDVとよばれる同居していない恋人関係のあいだで起こる暴力は守れないため、カップルを守る法律にはなっていない。
◇世間一般の性暴力に対するイメージとして、「性教育で変に刺激するから・夜道で襲われるなど一部の人にあること・小さな子どもには関係ない・ニュースで見るような事件である」などと捉え、「まさか私の周囲で性暴力なんて起こるはずがない」と考えられてしまう。そして、「まさか」が強ければ強いほど、「被害者の問題」と見誤ってしまう。
◇性暴力被害者が受ける二次被害の原因として、「被害者にも落ち度があったのではないか」という周囲の間違った思い込み・迷信・偏見がある。
◇DVに対しても、「被害者にも少なからず落ち度がある・被害者の自己責任」という考え方が今も見受けられ、二次被害につながっている。そして、被害者側に「自分が悪かった・自分のせいだ・人に知られたくない」と思わせてしまうことが、加害者にとって大変好都合な状況を引き起こしている。
◇2023年6月に「強制性交等罪」から「不同意性交等罪」に刑法が改正された。「性的同意がある」というのは、【①お互いの力の差がない②常識の中で良いか悪いかをお互いが知っている③起こりうる悪い結果もお互いが知っている④「やらない」という選択もあることを最初からお互いが知っている⑤お互いが相手を大切に思う気持ちがある⑥お互いの意思決定が自発的になされている】の6つがあり、これらがすべて揃って「真の同意」となる。
◇ハラスメントとは、「相手に対して故意に不快な感情を抱かせること」であり、パワハラ・モラハラ・セクハラ・マタハラ・就活ハラスメントなどはすべて暴力である。
◇今、私たちができることは、DVにおいても、誰であっても・どこであっても「二次被害」を生じさせないことである。性暴力に対する間違った思い込み・迷信・偏見などが、自分の中に無いか、まずサポートする側が自らを点検すること。緊急対応だけでなく、本当の意味での回復の道のりを支えるための中長期的な支援をすることである。
第2部トークセッション「女性に対する暴力をなくすために、一人ひとりができること」
◇実際はセクハラが軽く見られ改善されていないことがまだまだある。周囲が「それセクハラですよ」と言える環境作りや職場でのセクハラ研修を継続して行うことがハラスメントの防止になり、会社の安全配慮義務違反の防止にもつながる。
◇自分が被害にあった時にどう声掛けして欲しいか、何を言って欲しくないかを考える。
◇話を聴くことができる人を増やし、被害を打ち明けられたときに、「一緒に相談に行こうか」と寄り添える人を増やす。

